大きなひまわりと小さな手、ていねいな保育の瞬間

ひまわりに触れるこどもと保育士 わたしたちの保育

 夏の花の代表とも言える大きなひまわり。その力強い姿に、毎年とても励まされています。うだるような暑さの中でも、たった1本の茎から大きな1つの花を咲かせるためにぐんぐんと伸び、そして大輪の花を咲かせていきます。その姿にいつも圧倒され、心が震える瞬間があります。自信ありげに咲き誇っている。なんて力強いんだろう、と。

 そんなことを思いながら庭いじりをしていると、ある保育士がまだ2歳にも満たない女の子を抱っこしながらお庭に出てきました。この夏、保育のおうちの玄関先にはひまわりが植えてあるので、出入りをすると、必ずその横を通ります。ひまわりの横を通り過ぎてしまえば、その大輪の花も、ただの夏の風景として見過ごしてしまいがちです。でもその保育士は足を止め、その子に優しく、これひまわりだよ、と声をかけ、こどもが花を見上げる、その二人の姿になんだかほっこりしました。

 そのまま、その保育士は、自分の手をひまわりの花にそっと触れてみます。女の子に、もう一度優しく、ほら触ってごらんと声をかける。その子は、ことばでのコミュニケーションはまだできないものの、保育士のしぐさと言葉のニュアンスで、この花びらを触ると素晴らしいことが起きるんだなと感じ取り、すぐに手を伸ばして触ろうとします。

 その姿に反応して保育士は抱っこしていたその子を持ちあげ、手が花びらに届くように支えてあげます。そしてその手が花びらに触れたその瞬間、保育士は間髪入れずにアイコンタクトをとる。もちろんこどもも、保育士を見ています。保育士の満面の笑顔は、そのひまわりのように力強く、そして優しく包み込む笑顔になっていました。心が通い合った瞬間です。

 言葉がまだ話せない年齢の子でも、考えていること、感じていることが伝わっているんだよと保育士が言葉と態度で伝えれば、子どももすっとそれに応え、自分を理解してくれた喜びを表現し、更にまた一歩、考えたり感じたりするように進んでいく。そんな丁寧なこどもとのやりとりが、この保育のおうちの保育の軸となっております。通り過ぎてしまえば夏の風景の一つ、で終わるかもしれなかったひまわりの姿を見つけ、そこで立ち止まり、声をかけ一緒に見て、そして触れる。最後には、信頼関係をベースに微笑みあう。そんな瞬間が保育なんだなと改めて感じる日々です。

 保育のおうちでは、こどもが見たこと、聞いたこと、触れたこと、かいだ匂い、味わい、それらをふまえたこどもの気持ち、一つ一つを見つけ、意味をくみとり、感じることを表現できるよう見守り、言葉や態度で表現してあげることで心をはぐくむ、ていねいな保育ができる環境や体制を整えて、皆様をお待ちしております。

コメント